暑い。






とにかく暑い・・・・・






「なんで今年の夏はこんなに暑いのよ・・・・・」




普段も甲冑とか着てウロウロしている私だけれども、こんな夏なんだったら例外だ。
いつでも半袖の浴衣を着てウロウロせず縁側でごろごろと暑さにのた打ち回る様に寝転んでいる
見に来た部下達は私のその姿にビックリしているけど、そんな事構ってられないぐらい暑いもん
水浴びしたいけれど・・・ちょっと子供っぽいと思うし・・・・




そんな事を思っていると、この暑さの原因の一部かもしれない人物が私に手を振り、尻尾を振りながら近寄ってくる。






幼馴染である幸村だ








「!!」







「幸村・・・・・・」




暑さのせいか、私は少しダラけた声で幸村の名を呼ぶ。
普通の人ならば、夏はこんな感じで声がだらけている筈なのに・・・・
その反面幸村はまったくいつもと変わらない活き活きとした声で私に話しかける。



「、どうしてそんなにダラダラしているのだ」



「暑いから・・・」



「ああ、そう言えば今年の夏は暑いな。なぜだろうか」






(アンタとお館さまのせいかもよ)



幸村に聞こえない程度にそう呟く。
今年は幸村とお館さまの殴り合いは白熱してたから・・・まさかとは思うけれど、もしかすると幸村のせいかもしれない
そう私はつまらない事を考えていて気づいては居なかったけれど幸村は私の顔をジッと見ていた。
男にそんなに熱い視線を向けられた事が無いから、少し恥ずかしくなって視線を逸らす
視線を逸らしつつ私は幸村に何故そんな熱い視線を向けるのか聞く




「なんでそんなに見てるの?」




「いや、の顔を見ながら暑さを冷ます方法を考えておった」



(訳わかんないって)



「・・・・・・で、何か思いついた?」


























「川に水浴びをしに行くぞ」













いかにも幸村らしい答えだな、と即座に思った。
幼馴染だから少しぐらい予測はついていたけれど、やっぱりこんな答えね・・・・
私は「そう」と答えを軽く流そうと思ったが、幸村が私の手首を掴んで私の前に立つ。
少し・・・・予感がした。









「まさか・・・・今から?」







「当たり前だろう!も暑いのだろう?某と屋敷の近くに流れている川で水浴びをしに行くぞ!
 こんな暑い日だ。きっと気持ちが良い事だろう・・・・ホラ、早く!」








「まっ、まってって!!」








幸村は私の意見などお構い無しで、私の手首をグイグイと引っ張って川までの道を走っていった。
コイツは・・・こんな時にだけ私を引っ張るんだからさ・・・・

・・・・・まぁ熱いから行ってやらなくもないのだけれど・・・・







______全力で走ったために川にもう着いた。
屋敷とは違って、川の近辺は凄く涼しくて空気も良い・・・・・
こんな良い空気だから深呼吸の一つでもしたくなる。













スウ・・・・・・









はぁ・・・・・・













やっぱり、川辺は落ちつ・・・



















「とっりゃああああああああ!!!!!」



















ザッバーーーーーーン!!!!!









人が川辺の美味しい空気を落ち着いて吸い込んでる所だって言うのに
幸村が大声を上げて川に飛び込んだ事によって今の場の雰囲気を壊した。

・・・・ほんっとにコイツはいつまでも子供・・・・・・


暫く水中に潜っていた幸村が「プハー!!」と言いながら、水面から顔を出す。







「!!お主も水浴びをせぬか?サッパリするぞ」






「嫌だもん。私子供じゃないもんね」







「なんだ・・・・釣れないな」






そう言って、幸村はまた一人で川をバサバサバサっ!と荒い音を立てながら泳ぎ始めた。
私は幸村が一人で騒いでいる中、川に足をつけて自然の風景を楽しむ
最近仕事ばっかりで風景もロクに見れてなかったから少し新鮮に思えた。
こんな空気も仕事ばっかりで滅多に吸えないし・・・・・ね・・・・・・









・・・・・屋敷に居るよりは涼しくなったし・・・・幸村にはちょっと感謝・・・・




















・・・・・・ん?





















さっきまで違う異常に私は気が着いた。
幸村のバタ足の激しい音が聞こえないのだ。



一瞬、最悪な事態が脳裏を過ぎり怖くなる。









・・・・・・・・・まさか、まさかね。幸村が川に流されるワケが無い。










・・・・・・・・・・・・どうしよう・・・・・



幸村、溺れてるのかな・・・・





・・・・・・って、何動揺してるのよ・・・私!まず・・・・・幸村の名前呼ばなきゃダメでしょ・・・・




私は、川辺を歩きながら幸村を探し回ることにして立ち上がる。




















ガシッ
















「うっ・・・・・うわぁあああ!!!」










突然、足首を掴まれたと思った時にはもう私は水中の中に居た。
私は息をしようと水面へと急いで向かう




水面で、息を大きく吸い込むと
私は犯人を睨み付け怒鳴る。


















「真田!!!真田幸村!!!」









私は完全に怒っているのに、幸村は腹を押さえ笑いながら私を見ている。





「!ビショ濡れだぞ!」




「誰のせいなのよ!!」






私はそんな幸村にムカつき顔を赤くして「このっ!!」と言いながら水を思いっきりかける。
幸村は予想もしていなかったのか「うわっ」と言って少しの間怯んだ
それを見て優越感が私を支配してガッツポーズをする。
しかし、幸村が仕返しと言わんばかりに負けじと水を掛けてきた




私の耳に入ってくる幸村の笑い声が無性にムカつく・・・











「こうなったら、対決!!!」





「降参した方が負けだ!!、行くぞ!!!」



















___________________________












蒼天を写していた水面は、夕暮れ時の色に染まる。
幸村と私と言えば川辺の砂利の所で大の字になって疲れ果て空を二人で仰いでいる









「水遊びだなんて・・・・幼少期ぶり?・・・・・」




「ああ、幼少期は良く二人で遊んでおったな」






幼少期は楽しかった。
宿の娘だったんだけど、手伝い抜け出して毎日が幸村と遊ぶ日々だったっけ・・・・・・
あのころは腕白だったな・・・私と、幸村。
好奇心のせいで時々生死に関わる事件もあったけど、それも今となっては良い思い出。
きっと幸村からしても良い思いになってるよね


幼少期の頃を思い出して、少し微笑んでいると幸村が口を開ける

























「某・・・・・・・昔からを嫁に迎える事が夢であった」








いきなりの激白に私はお茶を飲んでいれば、勢い良く吐き出していた事だろう・・・
目をギョっとさせて幸村を見る。
幸村は私と目を合わすのが少し恥ずかしいのか、空を仰いでいる










「あの・・・幸村??熱で可笑しくなってない?貴方の夢、確か武将になる事だったよね?」




「それもあった。だが、を嫁に迎えたいのも夢であった」





幸村の声がいつもと違って真剣だった為か、私は無性にドキドキしている。
なんだろう・・・・頬に留まらず体中熱い・・・・・・

そう、私がドキドキしていると幸村が私の前に立ち塞がっている事に気が着く
嫌な予感ぐらいしたものの・・・体が動かない。








幸村は次に私に覆いかぶさった。






顔が近い事、その他もろもろ恥ずかしくて私は顔を真っ赤にして視線を逸らす。












「逸らさないでくれ、」



「逸らさないといけないんですけ・・・・!!」




幸村が私の顔を手で固定して、いつに無く真剣な顔で私を見つめる。




































「某は・・・・が好きで溜まらない。この熱はどう足掻こうと収まりそうにも無いのだ・・・・・・」


















その時の幸村の顔は、急に大人びた様な気がした。






















アンタって奴は






見つめられるだけでも恥ずかしいって言うのに





そんな恥ずかしい事言わないでよ













「、某と・・・・・・・・・・」























「好きにして良い・・・・・」















それはほんの照れ隠し




ホントは幸村にそう言って貰えて嬉しかった。







私は幸村と接吻を交わす。









___________接吻如きで、この熱は収まりそうにはないけれど















「これで、某達だけの思い出もまた増えたな。」








「はは、記憶喪失になったとしても・・・忘れないでしょうね。」








今を幸せに思って、私と幸村は互いに微笑んでもう一度接吻をした。








________________________________________アトガキ


愛する冴さんへ、相互リンク&5000hitの贈り物です!!
リクエストが水浴びって事なのですがムリヤリ的になってしまいましたね・・・・・
それになんだか今までになく積極的なユキムラに;
こんなんですが受け取ってくださると嬉しいです!


キャーすりさん愛してますvvvv 見てください皆さん!幸村がかなり漢前ですよっ!!
最高の婿じゃないですか!祝言あげにお館様の元へ走りたいっvv
水浴びしてる時の無邪気さも、告白の時のカッコ良さもイイです。
あーどうしよう、嬉しすぎで踊りだしてしまいそう・・・v 素敵な幸村、本当にありがとうございました!! 

愛しのすりさんのサイト【madder.】はこちら
06/09/19 壱師冴 










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